サイコロジカル・ラインはマーケットではその名のとおり「サイコロ」と呼ばれ、古くから使われているオシレーター系のテクニカル指標です。
サイコロジカルは心理的という意味ですが、投資家の間では「サイコロ何勝何敗」などと言って親しまれています。
例えば野球の勝敗表を考えてみてください。何勝何敗とつけていきますが、この表を見ただけでもどの球団が好調か知ることができます。
野球でも全日程が終盤にさしかからないと、どの球団がそのシーズンの優勝チームかわかりません。
ましてやシーズン中の試合で何連勝するかなどは蓋を開けてみなければわかりません。例えば9日や10日勝ち続けるとそろそろ負けるかもしれないということです。
考え方
株価の上昇が続くと投資家心理は強気に傾きます。しかし市場が強気一色になると相場がピークを打つ可能性があります。逆に下落が何日も続くと弱気に傾いて弱気一色になったときにボトムを打つ可能性があります。
上昇時も下落時もそろそろ転換するのではないかという心理が働きます。このように投資家心理を数値化して売買タイミングに役立てようという考えから生まれました。
サイコロジカル・ラインは計算期間(12営業日がベース)の中で上昇日数が何パーセントなのかを算出したテクニカル指標です。強気になりすぎたら売り、弱気になりすぎた場合は買いのシグナルが出る逆張りの指標です。
株価の変動には企業業績や政治・経済・海外動向といった色々な要因によって変わりますが、短期でみると必ず上昇と下落を繰り返すものです。サイコロジカル・ラインは目先の反発を狙うのに役立つと考えられています。
計算式
サイコロジカル・ラインは計算期間(一般的に12営業日)の中で上昇日数がどの程度なのかを計算する方法です。計算方法自体は非常にシンプルで株価が上がった日を勝ち、下がった日を負けとして勝率を計算するだけです。
勝ちの日は前日比プラスの日数、負けの日は前日比マイナスの日数です。注意するのは前日比変わらずの場合だけ前日と同じ扱いをします。つまり前日がプラスなら当日もプラス、前日がマイナスであればその日もマイナスとしてカウントします。
サイコロジカル・ライン(%)={(N日間中、前日比がプラスの日数)÷N}×100
[具体例]
12営業日中、8日勝ち、4日負け(8日プラス、4日マイナス)
8÷12×100=66.7%
[買いシグナル]
サイコロジカル・ラインが25%以下で反転し上昇した時に買い
[売りシグナル]
サイコロジカル・ラインが75%以上で反転し下落した時に売り
余談ですが数値は比率で出すこともあります。
例えば「サイコロ10勝2敗」などとして、実際の数字で表記することもあります。このとき、75%(9勝3敗・9勝÷12試合)は売り、25%(3勝9敗・3勝÷12試合)は買いとして、80%以上は過熱・20%以下は底値ゾーンとなります。
問題点
サイコロジカル・ラインは誰にでもわかりやすい指標です。12営業日における高い・安いという組み合わせは4096通り(単純に2を12乗してみてください)あります。サイコロジカル・ラインは確率論の考え方も含まれると言えます。
それは高い・安いという出現率はそれぞれ2分の1ありますが、12勝0敗や0勝12敗となる確率は先ほどの4096分の1であり、さらに11勝1敗や1勝11敗は4096分の12(12日の間に11勝1敗になるのは12日分あるから)でしかありません。
これを見て行くと確率としては非常に低く見えます。つまり逆張りのタイミングだと言えるでしょう。
ただしこれは確率なので別の問題点があります。確率は1枚のコインがあれば表か裏、勝敗なら勝ち・負けしかないので、確率としては50%です。
ところが株価というのはトレンドを持っているので実際には12勝0敗であってもトレンドが続く限り逆張りが通用しないこともあるのです。
また計算式のnに関しても本当は12という数字があっているのかどうかという問題もあります。つまり昔は土曜日も相場があったので1週間6営業日(FXはすでに24時間で世界中と取引していているのですが)から12営業日となっています。
いずれにしても確率通りいかないのがサイコロジカル・ラインであり、株価がトレンドを持っている場合は注意が必要です。勝ち続ける、負け続けるとしてもその中身をよく吟味する必要があるということです。
