乾燥肌などに悩まされると、空気の乾燥や間違えたスキンケアが原因と考えてしまいますよね。
もちろん、これらによっても乾燥肌は引き起こされますが、身体の内側のトラブルでも乾燥肌は引き起こされます。
漢方では「皮膚は内臓の鏡」といわれ、身体の内側の状態を色濃く反映すると考えられています。
丁寧なスキンケアなどに取り組んでも乾燥肌が改善しないときは、身体の内側のアンバランスに注目してみるとよいかもしませんよ。漢方から見た乾燥肌について解説しますね。
漢方で体の中からケア
すこし意外かもしれませんが、乾燥肌は漢方でケアを図ることができます。
ただし、漢方には独特の考え方があるので、しっかり理解してから用いることが重要です。抑えておきたいポイントを紹介しますね。
漢方は症状ではなく原因に合わせて対処をする
西洋医学と漢方では注目するポイントが異なるといわれています。
西洋医学は主に症状に、漢方や主に原因に注目するのです。漢方では、なぜ症状が現れているか原因まで掘り下げて考えます。
使用する漢方薬を決定するため、現れている症状はもちろん、固有の体質や生活習慣なども確認するのです。
漢方の世界では固有の体質のことを証(ショウ)といいます。
証は大きく「虚証」と「実証」に分かれます。虚証とは、本来の身体の機能(生命力・抵抗力・体力)などが低下した状態です。
実証とは、生命力などは充実している状態です。この中間を中間証といいます。固有の体質をいずれかに分類して、適切と考えられる漢方薬を処方します。
「気・血・水」のバランスがポイント
漢方では、ヒトの身体は「気・血・水」で構成されていると考えます。
気は身体の内側を流れるエネルギー、血は血液(とホルモン)、水は血液以外の水分のことです。これらの調和がとれている状態が健康です。
反対に、「気・血・水」のバランスが崩れると乾燥肌などの症状が現れます。乾燥肌を改善するには、「気・血・水」のバランスを整えることが重要です。
「血虚(けっきょ)やお血(おけつ)」が関係
乾燥肌と深くかかわっているといわれているのが「血虚(けっきょ)」「お血(けつ)」と呼ばれる状態です。
血虚はストレスや疲労、冷えなどで気(体内のエネルギー)が不足して、血(血液)まで不足してしまった状態です。お血とは血の巡りが悪くなった状態です。
これらにより、乾燥肌が引き起こされると考えられているのです。乾燥肌の改善を図るときは、体質や生活習慣、年齢などを考慮しながら、血虚やお血を改善する漢方薬用います。
乾燥肌にお悩みの方の中には、体質だから仕方がないと考えている方が多いはずです。
スキンケアなどで満足できない方は、漢方薬で体質改善の糸口を探してみるとよいかもしれません。乾燥肌に良いといわれている漢方薬を紹介するので参考にしてくださいね。
乾燥肌に効果的な漢方は
同じ乾燥肌であっても、漢方では体質や原因などによって様々な漢方薬が用いられます。複数の生薬を用いてオーダーメイドの治療を行うこともできます。
一般的に、乾燥肌に効果的といわれている漢方薬は次の通りです。
当帰飲子(とうきいんし)
血を補う四物湯に気を補う生薬などを組み合わせた漢方薬です。
肌に潤いを与え炎症を鎮静化する効果があるので、乾燥でかゆみを感じている方や季節を問わず乾燥に悩まされる方などに効果的です。虚証の方でも服用できます。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
胃腸の働きを整え気と血を増やすとともに、全身に巡らせる漢方薬です。
疲労、貧血、冷えのほか、乾燥で肌が荒れている方などに用いられています。体力の衰えた方に適しています。
温清飲(うんせいいん)
肌のカサつきとほてりを伴う湿疹やアトピー性皮膚炎などに用いられる漢方薬です。
血を増やす働きと熱を冷ます働きが期待できます。体力が中等程度の方に適していますが、胃腸の弱い方には適していません。
四物湯(しもつとう)
当帰・芍薬・地黄・川芎(せんきゅう)を組み合わせた漢方薬です。
血液の流れを改善して身体を温める働きが期待できるので乾燥肌に効果的と考えられています。ホルモンバランスを整える働きも期待できます。体力の弱い方でも服用できます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血を補い、その流れを改善するとともに余分な水分を取り除く漢方薬です。
冷えや生理不順、乾燥肌などに悩む方に用いられています。痩せ型で体力の弱い方などに適していると考えられています。
漢方薬 服用の仕方&注意点
自分に合った漢方薬が見つかると、服用を検討したくなりますよね。漢方薬の服用の仕方と注意点を解説しますね。
服用の仕方
漢方薬の服用の仕方は、基本的に一般的なお薬と変わりません。ただし、服用するタイミングには気をつけましょう。
西洋医学のお薬の多くは食後に服用しますが、漢方薬は食間や食前が中心です。指示された服用のタイミングを守りましょう。服用するときは、水よりも一度沸騰させてから冷ました白湯が良いといわれています。
白湯に溶かすと吸収しやすくなるので、時間のある方は試してみるとよいでしょう。服用回数は、1日2~3回が基本です。こちらも服用する漢方薬により異なるので指示を確認しましょう。
煎じ方
漢方薬の中には煎じて服用するものがあります。煎じ方は次の通りです。
- 土瓶などに水と漢方薬を入れる。
- 強火で沸騰させる。
- 沸騰したら弱火にして水が半分程度になるまで煮詰める。
- ガーゼで濾してから服用する。
作り置きはできないので、1日分ずつ煎じるようにしましょう。煎じ方は、漢方薬により異なることがあります。念のため、漢方薬局などで確認しましょう。
服用するときの注意点
漢方薬というと身体にやさしいイメージがあるので、副作用はないと考える方が多いようです。しかし実際は、漢方薬でも副作用は起こります。
服用を始めてからおかしい症状が現れた方や他の薬を服用している方は医師や薬剤師に相談しましょう。
家族の中に同じ乾燥肌に悩む方がいると、漢方薬を回し飲みしたくなるかもしれません。気持ちはわかりますが、漢方薬は症状や体質などに合わせて処方するものです。
よく似た症状が現れていても回し飲みしないようにしましょう。漢方薬を服用するときは、これらのポイントに注意が必要です。
漢方薬を使用するにはどうしたらいい??
内側から乾燥肌に働きかけることができるので、漢方に興味を持った方が多いかもしれませんね。漢方薬を利用したい方は、ドラッグストアで市販の漢方薬を購入することができます。
ただし、多くの方に効果が出るように作られたものなので、体質や症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬ではありません。より高い効果を求めたい方は、漢方薬局で相談するとよいでしょう。
漢方薬局では、乾燥肌の状態や固有の体質などをもとに最適と考えられる生薬を組み合わせた漢方薬を処方してくれます。
漢方薬局まで本格的でなくてよいという方は病院で相談するとよいでしょう。漢方外来を開設している病院などでは漢方薬を処方してもらうことができます。
西洋医学と東洋医学の両方からアプローチできるのでよい選択になるかもしれませんよ。
乾燥肌は空気の乾燥など外的な要因だけでなく、身体の内側のバランスが崩れることでも起こるといわれています。気になる方は、内側から乾燥肌に働きかける漢方薬を利用するとよいかもしれません。乾燥肌に効果的といわれている漢方薬がいくつかあるので、気になる方は試してみてはいかがでしょうか♡