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不妊の原因にもなる!?女性が最もなりやすい婦人科系の病気とは?

 

女性特有の腫瘍性疾患の中で最も多い病気をご存知ですか?

それは、女性の4人に1人がかかっているといわれる子宮筋腫です。

最近生理痛が重くなった、ということはありませんか?

小さいものも含めれば、ほとんどの女性が持っているとされる子宮筋腫。

今回は、不妊の原因にもなり得る、子宮筋腫の原因や症状、治療法についてみていきましょう。

目次

子宮筋腫とは?

子宮筋腫とは、子宮壁にできるコブのような良性の腫瘍です。

婦人科系の腫瘍の中には他に卵巣腫瘍や子宮内膜症等がありますが、最も多いのがこの子宮筋腫です。

成熟した女性に特に多く、30歳以上の20%~30%に子宮筋腫があるというポピュラーな病気です。

命に係わる病気ではありませんが、大きくなると10kgを超えるほどにまで大きくなるケースもあります。

子宮筋腫は複数できることが多いのが特徴です。

また、できる場所によって3つに分類されます。

  • 粘膜下筋腫:子宮の内側にできるもの。不正出血や不妊症の原因になります。
  • 筋層内筋腫:子宮の筋肉の中にできるもの。肥大すると不正出血や流産・早産を引き起こします。
  • 漿膜下筋腫:子宮の外側にできるもの。大きくなるまで症状がほとんどありません。

子宮筋腫の原因とは?

子宮筋腫の詳しい原因は明らかにはわかっていませんが、筋腫そのものは女性ホルモン(エストロゲン)によって大きくなっていきます。

子宮筋腫は初潮を迎える女児には発症せず、また閉経を迎えると筋腫も小さくなっていくことため、女性ホルモン(エストロゲン)が大きく関係していると考えられています。

子宮筋腫の症状とは?

子宮筋腫はほぼ半数以上が無症状なので、気づかないまま進行しているケースも少なくありません。

主な症状としては、腰痛や下腹部痛といった重い生理痛や月経量が多くなるなどです。月経量が増えるため、貧血やめまいなども伴います。

また、生理以外の不正出血や頻尿、便秘などもあります。

子宮筋腫の症状は、筋腫の大きさや場所によって異なります。筋腫の大きさは症状の重さとは無関係です。

筋腫が子宮内にある場合は、小さいものでも症状が強いですが、子宮の外にできたものは、相当大きくなっても症状がほとんど見られません。

子宮筋腫チェックリスト

自覚症状のほとんどない子宮筋腫ですが、月経時など何らかの変化が見られることがあります。まずは自己チェックで自分の状態を知りましょう。

 

  • 月経中、下腹部痛や腰痛がある
  • 月経時の出血量が多くて、レバー状の塊が出ることもある
  • 月経の期間が長く10日以上続く
  • 貧血を起こすことがある
  • 仰向けに寝て下腹部を触ると、こぶのようなものが感じられる
  • 便秘がち
  • 尿の間隔が短い(頻尿)
  • 排便の際、下腹部(子宮のあたり)に痛みを感じる
  • 生理の出血の量やタイミングに変化がある 
  • おりもの、不正出血がある
  • 下腹が出てきた
  • 性交痛がある

子宮筋腫の治療法

子宮筋腫はそのほとんどが症状がなく、命に係わる病気ではないため、発覚しても筋腫の成長具合を見て経過観察という処置が取られることもあります。

筋腫の大きさや症状の度合い、また、妊娠希望の有無や年齢によって様々な治療が行われます。どんな治療法があるのか見て行きましょう。

薬物療法

ホルモン剤等で女性ホルモンを抑え筋腫の成長を止めます。主に避妊薬として用いられるピルですが、子宮筋腫の治療にも用います。

体を閉経に近い状態にして排卵を止めるため、過多月経や生理痛などの症状がなくなる他、筋腫が大きくなるのを防ぎます。

排卵がなくなるため、まだ子供はほしくないという人に向いています。

いずれの方法でも、薬を飲んでいる間は筋腫も小さくなりますが、薬をやめて月経が再開するとまた筋腫も大きくなるため、一時的な方法としてとらえておきましょう。

漢方薬で症状を抑えたり、筋腫の成長を和らげる方法もあります。

漢方は一般的な薬と比べて即効性はないものの、体質改善や根本的な治療が可能です。

また、副作用も比較的軽く、体への負担も少ないことが特徴です。

妊活中や、妊娠中の方でも取り入れることができます。

手術療法

子宮筋腫の手術には、「筋腫核出術」と「子宮全摘出」があります。

これから妊娠を望む人は、子宮筋腫のコブだけを取り除く「筋腫核出術」を行います。

反対に、「子宮全摘出」は妊娠を望まず、再発のリスクが高い場合などに行われます。

しかし子供が産めなくなるため、手術が必要となった場合にはしっかりと医師やパートナーと話し合い、納得してから決断する必要があります。

一般的に行われることの多い、「筋腫核出術」は次の3つの方法で行われます。

筋腫核手術は術中の出血が多いものですが、筋腫を取ってしまうと症状もなくなり、妊娠することも可能です。

筋腫は複数できるものですが、手術で全て取り除けるわけではありません。

手術をしても取り残したものがいずれ大きくなるので、再発の可能性は否定できません。

子宮筋腫と不妊症の関係について

子宮筋腫があるからといって、必ずしも不妊症になるかといえばそうではありません。子宮筋腫があっても妊娠・出産を経験している人も多くいます。

不妊症になるかどうかは、筋腫のできる場所や大きさによって決まります。子宮内にできる粘膜下筋腫は、不妊につながる要素となります。

子宮内に子宮筋腫があると、受精しても着床するスペースがないため不妊症の原因になることは否定できません。

筋腫があると子宮内が変形したり、固く委縮して凸凹しているため受精しても着床しにくくなります。

また、卵管付近に筋腫ができると閉塞され精子が通りにくくなったり受精卵の移動が妨げられ初期早産につながってしまいます。

子宮筋腫があるけど赤ちゃんがほしいと思っている人は、あきらめずに早めに医療機関に相談しましょう。

ひどい生理痛や不正出血がある場合は病院へ!

子宮筋腫はとても身近な病気です。

命に別状はありませんが、放置しておくと生理痛や出血過多など日常生活に支障をきたすことも。

何より妊娠を妨げる原因にもなるので、早期発見・早期治療がカギとなります。

最近、生理痛がひどいな。不正出血がある・・・。

もしかして私も?と思ったら、医療機関に相談してみましょう。

参考文献:日本産科婦人科学会 一般の皆さまへ 病気を知ろう 子宮筋腫

参考文献:日本産科婦人科学会「E.婦人科疾患の診断・治療・管理」8.腫瘍と類腫瘍

参考文献:サワイ健康推進課 カラダの豆辞典 女性の4人に1人はかかる 子宮筋腫

参考文献:琴似クリニック 子宮筋腫