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精子の数が少ないのは不妊になる?原因は?自然妊娠はできる?

 

乏精子症をご存知でしょうか?

精液の中の精子が少ないといわれる乏精子症は男性にとっては深刻な問題です。

しかし、見た目でわかりにくく、不妊といえば女性の原因ばかりがクローズアップされがちで気づきにくいという問題があります。

なかなか妊娠ができず、不妊治療で初めて乏精子症の症状に気づくということが多いです。

今回は、乏精子症について原因や治療法などを詳しく見てみましょう。

 

目次

乏精子症とは?

乏精子症は男性の精液の中に精子が極端に少ない症状のことです。精子の数が少ないと、卵子との受精の確率が下がり不妊の原因になります。

一般的な精液は1mlあたり、6000~8000万個以上の精子が含まれています。

自然妊娠するためには1mlあたり4000万個以上あることが望ましいと言われています。

1mlあたりの1500万個未満の場合、乏精子症と診断されます。

乏精子症は自然妊娠は厳しくなりますが、妊娠が出来ないわけではありません。体外受精や、顕微授精などで授精して子供を授かることができる場合もあります。

乏精子症の判断方法

精液の中の精子の数が少ないと、色が薄くなったりして見た目にわかりやすいのではないかと思われますが、実は見た目ではわかりません。

乏精子症かどうかを診断するためには、医療機関で精液検査が必要です。

精液の中の精子の数は変動が大きいため、数回の検査が必要です。

ストレスや、生活環境などでも結果が大きく変化すると言われています。

検査は、自宅か病院で精液を採取して、顕微鏡で精子を調べます。

病院での採取は緊張してしまう人も多いようですが、検査の精度を高めるためには病院で採取したものを検査したほうがベストの状態で検査ができます。

最近では、洗面所などもついた個室でリラックスして、精液採取できる病院も増えています。

また、性行為の24時間以内に女性の子宮頸管粘液を採取し、その中の精子の数や運動率を検査するフーナーテストという方法もあります。

精液検査の結果、乏精子症と診断されたら、精巣などの診察を行います。

睾丸の大きさや、精子を運ぶ管、精巣の血管など、精子が少なくなってしまう直接的原因がないかを診察で調べます。

あわせて超音波検査で、精子を運ぶ管の詰まりや、睾丸の悪性腫瘍がないかも調べます。血液検査で、ホルモンの値を調べる場合もあります。

これらの検査で他の問題がないかを、しっかりと検査します。

乏精子症の原因

乏精子症のはっきりした原因はわからない部分も多いですが、原因になりうると言われている主なものを見てみましょう。

精索静脈瘤

精索静脈瘤は睾丸の上に流れている静脈が異常に大きくなる症状です。不妊男性の多くがこの症状を持っていると言われています。

静脈が大きくなりすぎると、精巣が必要以上に温められてしまい精子を作るシステムに悪影響を及ぼします。精索静脈瘤は手術で治療が可能です。

おたふく風邪などによる精巣炎

子供の時のおたふくかぜは大丈夫ですが、大人になってからおたふく風邪にかかると、その1~3割程度が精巣炎にかかってしまうと言われています。

精巣炎は病気などで精巣に炎症が起きて、睾丸が大きく腫れあがってしまい場合によって激しい痛みを伴う症状が出ます。

症状が悪化すると造精子細胞にダメージが出てしまい、精子をつくる機能を失うか、著しく低下させてしまい乏精子症の原因になります。

喫煙

生活習慣も乏精子症の原因になりうると言われています。

その中でも、喫煙は乏精子症だけでなく様々な不妊症の原因だといわれています。

たばこに含まれるニコチンは、男性ホルモンのテストステロンの分泌を減らしてしまいます。

男性ホルモンが減少することで、精子をつくる能力自体が落ちてしまうので、結果として精子の数や運動量が減ってしまうという研究結果も出ています。

喫煙による原因は、不妊治療を受けている人の多くがあてはまると言われていて、喫煙をしている方で赤ちゃんがほしいと望む方は真剣に禁煙を考えることをおすすめします。

その他の原因

その他にも様々な原因があります。

子供の頃に、精巣が陰嚢内に下りなかった場合に、精子をつくる昨日が低下してしまう停留精巣や、ホルモン分泌異常、染色体異常などの原因が乏精子症の原因として考えられています。

乏精子症の治療法

乏精子症は、症状がある程度特定された場合はその症状を改善する治療を行います。

精索静脈瘤の場合、精索静脈瘤手術を行うのが一般的です。

精索静脈瘤手術が、男性の不妊治療にあまり効果がないという研究もありますが、重度の精索静脈瘤ができている場合、手術を行うことで症状が大きく改善する例も見られるようです。

手術で精子の数が回復しない場合や奥様の年齢によっては、人工授精、体外受精の道へ進むことになります。

そのほか、症状が軽度の場合や造精機能障害の場合は、漢方薬やビタミン剤などの薬物治療で経過を見ることもあります。

改善が見られない場合は?

症状の原因が特定できず、薬物治療を行っても改善が見られないことも多くあります。

その場合も精液の中の精子がゼロでなければ、妊娠の可能性は残されています。

今ある精子を有効に使い、人工授精や顕微授精で授精を試みることができます。

まずは人工授精から始めますが、精子の数が極端に少ない場合は、精子を取り出して顕微授精を行います。

顕微授精は正常な精子がひとつでもみつかれば可能性はあります。

ただし、これらの治療は高度な技術が必要なもので、治療費も高額になります。

確かな技術がある医師、医療機関をきちんと選ぶことが大切です。

まとめ

乏精子症は男性の不妊の原因といわれますが、診断されたからといって妊娠が不可能というわけではありません。

治療が可能な場合もありますし、少なくても動いている精子であれば人工授精や顕微授精も可能です。

乏精子症の原因はわかっていない部分も多いですが、喫煙など生活習慣も影響を与えることが分かっています。

喫煙が習慣になってしまっている人は、やめることは難しく感じるかもしれません。

しかし、実際に妊娠してからも受動喫煙などで妊婦や赤ちゃんに悪い影響を与えてしまうので、禁煙を真剣に考えたほうがよいでしょう。

乏精子症は見た目では分からないものなので、気になる方は早めに病院で検査をしてみましょう。

参考文献:石川病院 診療のご案内 男性不妊について 乏精子症とは

参考文献:日本生殖医学会 一般のみなさまへ 不妊症Q&A Q15.男性不妊の場合の治療はどのようになるのですか?