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妊娠前に知っておきたい!妊娠のしくみとは?【受精と着床】

 

最近は、「できちゃった婚」や「授かり婚」、「おめでた婚」などと妊娠をしてから結婚するなんてことをよく聞きます。突然、妊娠が分かったときは本当に驚いてしまうことだと思います。しかし、妊娠をすることはとても神秘的で奇跡に近いものです。

今すぐ妊娠したい人も、まだ妊娠を望んでいない人も、もちろん男性にもぜひ知ってもらいたい、「妊娠のしくみ」について学んでいきましょう。

 

目次

妊娠する確率とは?

妊娠し出産した経験のある女性たちに効くと、「妊娠するまでに思っていたより時間がかかった」という人が多いです。避妊をやめるとすぐに妊娠する、と思っている人がほとんどですが、実際はそうではありません。

女性の妊娠適齢期は20代後半~30代前半で、適齢期かつ生理周期が安定している女性がパートナーと妊娠しやすい日に性交渉を行っても、妊娠する確率は25~30%にとどまっています。

女性は卵巣機能が33歳ごろから低下し始め、38歳になると急激に落ちます。30代後半には妊娠率も18%まで下がり、40代前半になるとわずか5%になります。

女性の体は非常にデリケートで、毎月ちゃんと生理があったとしても、体調やストレス、年齢によって周期が狂ったり排卵がなくなるのはよくあることです。特に仕事や家事、育児でストレスを抱えている女性が多い今の時代、実際の妊娠率はもっと低いと見ていいでしょう。

女性の身体のしくみ

女性には月経周期があり、その中で排卵や月経が行われていますよね。妊娠するための体の準備とリセットが毎月繰り返されているんです。その指令は脳の視床下部いう所と卵巣から送られ、ホルモンがその伝達を行います。

まず、卵胞刺激ホルモン(FSH)が卵巣を刺激、卵巣内の卵胞が1日に1~2mmずつ大きくなります。卵胞が成長すると、卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌します。

卵胞ホルモンの量がピークになると、今度は視床下部から黄体化ホルモン(LH)が分泌され、その刺激で卵胞から排卵が起こります。その頃には卵胞は20~25mmの大きさに達しています。

排卵した後の卵胞は黄体というものになり、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌。子宮内膜を厚くしたり、体温を上げるなど妊娠しやすい体になるため働きかけます。

妊娠しなかった場合は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが減少し、厚くなった子宮内膜を排出させます。これが月経になります。

女性の体は、卵を成長させ、排卵、妊娠しなければ排出、というサイクルを毎月繰り返しているんです。「生理なんかないほうが楽でいい」と思っている人は多いですが、体の中では子供を産むための尊い営みが行われているんですね。

卵子について

卵子の数は、女性として生まれた時から決まっています。卵子の元である卵細胞の数は、胎児の時に最大の700万個となり、出生時にはそれが200万個に減少。その後もずっと減り続け、思春期の頃には50万個に減っています。

卵子のサイズは0.1mで肉眼で見えるか見えないか、というぐらい。ヒトの細胞の中では大きいほうです。

卵胞とは卵子が入ってる袋のようなものですが、常に10~15個の卵胞が卵巣内でスタンバイしており、その中で一個だけが排卵します。残りの卵胞は消滅します。

卵子は卵巣の壁を突き破り卵管内に移動します。女性の中にはこの時に痛みを感じることがあり、それを排卵痛と呼びます。卵子は卵管内で精子が来るのを待ち、妊娠しなければ消滅します。

卵子は24時間しか生きられません。しかも受精が可能なのはその間の12時間だけです。

精子について

卵子がヒトの体の中で大きな細胞であるのに対し、精子は最も小さい細胞だと言われています。楕円形の頭部のようなものに、べん毛という尾のようなものがついていて、全長わずか0.05 ~0.06mmです。

精子は精巣(睾丸)内で作られます。男性として生まれた時から、精子のもとになる精巣細胞が精巣管内に備わっています。精巣管は500本あり、その一つずつが約2ヶ月かけ精子を作っています。

成人男性は1日に1億個の精子を作ることができます。卵子の数が減少の一途をたどるのに対し、男性はほぼ無限に精子を作り続けます。

1mlの精子には1億個の精子が含まれています。1回の射精で2.5~3.5mlの精液が放出されるので、精子の数にすると大体1~4億個ぐらいになります。

排出された精子の寿命は24~48時間ですが、凍結保存すると何年でも生き延びられ、それが人工授精を可能にしています。

妊娠の成立までの道のり【受精から着床】

一度の性交渉で何億個の精子が女性の体内に入るのに、妊娠率が低いのはどうしてなのでしょうか?

それは、卵子のところまでたどり着けるのはほんのわずかの精子だからです。最後に受精から着床までの妊娠成立のしくみについてみていきましょう。

精子は尾のような部分を動かし毎分1~4mmを進みます。子宮から卵管までの距離はおよそ23cm。卵管まで来る頃には、精子の数は数百匹に減っています。卵管がある卵子までたどり着くころには、さらに100匹ほどに減っています。

受精するためには、卵子の表面を覆う膜を破らなければいけません。残りの100匹ほどの精子が総出で膜を破り、その中のたった一匹が卵子の中に入ることができれば受精が成立します。

せっかく精子が卵子にたどりついても、排卵後12時間以上たっている卵子は妊娠には至りません。受精するには、文字通り長い道のりを超えていかなければならないわけなんです。

そんな難関を乗り越え幸運にも受精できた卵子は受精卵となって、他の精子をシャットアウトするために膜を作ります。そして細胞分裂を繰り返しながら3日ほどかけて卵管から子宮まで移動します。

さらに4日ほどかけて子宮内を漂い、絨毛と呼ばれるもので子宮内膜にくっつきます。このことを着床と呼びます。この時、絨毛が子宮壁を傷つけることがあり、出血が見られることがありますが、それを着床出血と呼び妊娠のサインとされています。

受精しても着床まで至らなければ妊娠にはなりません。受精してから着床までは1週間から10日ほどかかるため、性交してすぐに妊娠となるわけではありませんし、もちろん自覚症状もありません。

しかし、女性のからだの中ではこのように受精から着床へと、妊娠の成立までの長い道のりを乗り越えてきたストーリーが繰り広げられているのです。

まとめ

いかがでしたか?妊娠というのは気が遠くなるような至難を乗り越え、成立するもの。卵子と精子が巡り合うのは、まさに奇跡に近いですよね。

妊娠することは当たり前のことだと思われがちですが、妊娠の成立だけでもこれほどの試練があり、ここを乗り越えたとしても、流産や早産といった試練も待ち構えています。

だから、妊娠・出産というのは、本当に奇跡の積み重ねみたいなものなのです。

これからは、そんな奇跡で生まれた自分やパートナーの存在に感謝して、「こんなに大変なことなんだ」と命の大切さを噛みしめたいですね。

参考文献:日本生殖医学会 一般のみなさまへ 不妊症Q&A Q1. 妊娠はどのように成立するのですか?