ニキビを作る菌、というと「アクネ菌」を思い浮かべる人が多いと思いますが、実はそれだけではないことを知っていましたか?
また、アクネ菌といってもすべてが悪い菌ではないのです!!
今回は、ニキビと肌に住み着いている細菌との関係について、きちんと知って正しく対処していきましょう!
ニキビの原因は細菌感染にあった?
ニキビは毛穴が詰まって、そこに皮脂が溜まることで発生します。
ニキビが出来る原因のひとつには細菌による炎症もあるのですが、細菌が肌にいるだけですぐにニキビができるわけではありません。
実は人の皮膚には無数の菌が住んでいるのです。その働きについて詳しく見てみましょう。
皮膚常在菌について
人の肌に住み着く「皮膚常在菌」にはアクネ菌やマラセチア菌、ブドウ球菌などの種類があり、その数はなんと約一兆個もいるといわれています。
皮脂や汗を餌に生息している菌・・・と聞くとなんだか不衛生なイメージがありますが、実は外的ダメージから肌を守るという大切な役割を担っています。
花粉やカビのような刺激やウイルスから守られているのも常在菌のおかげなんですね。
常在菌によってニキビが出来る理由
普段は肌を守ってくれている皮膚常在菌ですが、ストレスやホルモンバランスの乱れで肌のバリア機能が崩れると、皮脂の分泌が増えて毛穴が詰まります。
そしてニキビの原因となり、皮脂を好むアクネ菌やマラセチア菌が毛穴の中で増殖して、ニキビなどの肌トラブルを引き起こすのです。
それでは、ニキビの原因菌であるアクネ菌とマラセチア菌についてもう少し詳しく見てみましょう。
アクネ菌とは?
にきびの原因となる「アクネ菌」。
しかし、アクネ菌が肌にいるだけではニキビができることはありません。
それではなぜアクネ菌がニキビの原因といわれるのでしょうか?
アクネ菌には善玉菌と悪玉菌がある?
アクネ菌には腸内細菌と同様に「善玉菌」と「悪玉菌」が存在します。
そのうち、善玉アクネ菌は1種類、悪玉アクネ菌は2種類あることがわかっています。
腸内に生息する善玉菌と悪玉菌は有名ですが、善玉菌が多ければ腸内環境は安定し、悪玉菌が多ければお腹の調子が悪くなります。
それと同様に、肌に住むアクネ菌も「善玉菌」が多い状態であれば肌を弱酸性に保ち、病原菌から守ってくれ、ニキビを作ることはないのです。
実は悪玉のアクネ菌が増えることこそが、ニキビ発生の原因だったのです!
悪玉アクネ菌の増殖メカニズム
悪玉アクネ菌は空気に触れることを嫌がり皮脂を好む性質があります。
つまり、空気に触れず、皮脂の詰まった毛穴は彼らのベストポジションというわけ。
ニキビの前身である「面皰(めんぽう)」は、毛穴が角栓や皮脂によって塞がれた状態を指します。
ここに悪玉アクネ菌が増殖すると、アクネ菌が皮脂を分解し、肌を刺激してニキビが出来る。というのがニキビ発生のメカニズムです。
アクネ菌のケア方法
肌を清潔に保つことでアクネ菌を増殖させず、ニキビを防ぐことができます。
それでは、ニキビを防ぐアクネ菌の具体的なケアを見て行きましょう。
アクネ菌予防ケア
アクネ菌を殺菌することよりも、毛穴が詰まらない肌を作ることがニキビには効果的です。
ニキビが既にできている場合は、毛穴詰まりを避けるためカバー力の高いタイプのファンデーションを避けるなど、なるべく薄づきで低刺激なコスメを使いましょう。
基礎化粧品はニキビケア専用のものを使い、角質を取り除くピーリングジェルなども定期的に使うと良いでしょう。
では、アクネ菌を抑制する化粧品に含まれるニキビケア成分とはどのようなものでしょうか。
アクネ菌の殺菌・消炎成分
アクネ菌を殺菌するための成分には以下のようなものがあります。
- アルコール、エタノール
- 硫黄
- サリチル酸、サリチル酸ナトリウム
- グリチルリチン酸
エタノールやアルコールは強い殺菌力がありますが、皮膚への刺激は強めなので注意が必要です。
ニキビには直接つけない方が良いでしょう。
硫黄やサリチル酸は殺菌作用があり、ニキビケアの製品によく含まれる成分です。
硫黄は皮脂を吸着する力が強いため、乾燥系のニキビ肌には要注意。
ニキビの幹部にピンポイントで使うのがオススメです。
サリチル酸は角質を柔らかくし、毛穴のつまりを防ぐ効果があります。
アクネ菌を減らしニキビの炎症を抑える作用があるため、ニキビケアに効果的な成分です。
グリチルリチン酸は甘草という植物から取れる成分で低刺激、抗炎症作用、抗アレルギー作用がありニキビの炎症を抑えてくれます。
植物由来で肌に優しいのですが、その効果はステロイド剤に匹敵します。
マラセチア菌とは?
マラセチア菌は真菌というカビの一種で、背中、肩、腕や胸などに出来る体ニキビを作ります。
アクネ菌とよく似ていますが、異なる特徴を持っています。
体にできるニキビは「マラセチア毛包炎」?
マラセチア菌はアクネ菌と同じく、皮膚の常在菌の1種です。
アクネ菌と同様に皮脂や汗を好む性質があり、詰まった毛穴に異常繁殖することで「マラセチア毛包炎」というニキビに良く似た症状を引き起こします。
「マラセチア毛包炎」は顔よりも背中や腕、胸などの汗をかきやすい場所にでき、ニキビのように見えることから一般的には「体ニキビ」と呼ばれますが、厳密には顔のニキビとは違うものです。
顔ニキビに比べて痛みや膿みなどはあまりないかわりに、自然に治ることはほぼありません。
しかし病院で治療すれば比較的簡単に治ることが多いのも、マラセチア毛包炎の特徴です。
マラセチア菌が増殖する原因は?
マラセチア毛包炎が起こるパターンは以下の通りです。
- 皮脂を分解する作用によって炎症を起こす
- 菌に対する免疫反応として炎症を起こす
マラセチア菌は皮膚の常在菌なので、誰でも炎症を起こす可能性があります。
マラセチア菌のケア方法
「体ニキビ」をケアするときに気をつけたいことと、その予防法をご紹介します。
マラセチア毛包炎の治療
マラセチア菌の作るニキビは痛みや化膿は少ないものの、なかなか自然には治りません。
しかし皮膚科に行って正しく治療することで快方します。
病院で処方される薬にはマラセチア菌を効果的に抗菌してくれるものがあり、約1〜2ヶ月できれいに治ることが多いようです。
細菌体にニキビが増えてきたな・・・と気になるときは、早めに病院を受診しましょう。
マラセチア毛包炎の予防
体ニキビを作る原因となるのは、皮脂や湿気の多い肌環境です。
夏場やスポーツ後など汗をかくと菌が繁殖しやすくなるので、こまめに汗を拭いたりシャワーを浴びたりして肌を清潔に保ちましょう。
室内の空調管理や体温調節にも気をつけて、さらさら肌をキープすることが体ニキビの予防には効果的です。
ニキビではない細菌感染、慢性膿皮症とは?
「ニキビがなかなか治らないどころかひどくなる一方・・・」というときは、別の病気を疑ってみたほうが良いかもしれません。
ニキビとよく似た症状を持ちながら全くの別物の「慢性膿皮症」という皮膚疾患があります。
悪化したニキビのように膿を持ち、その膿が破れることでまた炎症を繰り返し、患部が広がっていきます。
炎症を繰り返し長期化するため、皮膚は黒ずみ硬くなっていきます。
「慢性膿皮症」は早く治療すれば比較的早く改善しますが、悪化すると膿んだ患部を削ったり皮膚移植が必要になる怖い病気です。
最悪の場合は皮膚ガンを発症する可能性もありますので、「ニキビから膿が出てどんどん悪化する・・・」というときは皮膚科を早めに受診しましょう。
さいごに
肌を守ってくれる皮膚常在菌とニキビの原因についてご紹介しました。
細菌ときくと悪いイメージを抱きがちですが、アクネ菌をはじめとした常在菌には肌を守る側面もあることが分かりました。
洗い過ぎや殺菌成分の強い化粧品を使うことで、皮膚を守る良い菌まで殺菌してしまうのはNGです!
正しくケアしてニキビを作らないお肌をキープしましょう!
